眠れぬ者に夜は長し−森田療法
私は余り、夜よく眠れぬ。
阪神大震災の時、被災して家に閉じこめられたせいでもある。
被災後、二、三年でようやく家を再建でき、世間が落ちついてから、でてきた。
閉じ込められる恐怖に加えて、地震のあと、引っ張り出されたご遺体が、搬送されるまで、あちこちで毛布を掛けて横たえられていた。
血塗れのご遺体が覆いからはみ出た悲惨な様子が、蘇るのである。
被災後3年くらいアドレナリンが出っぱなしで、ようやく落ち着いて、怖がる余裕ができてたかなと、頭で理解できても、気持ちは思うようにならない。
お医者に相談しても根本的解決にならない。
疲れているのに眠くならないのは辛い。
お医者は、不眠で死ぬ人はいない、というし、そんなことは承知しているが、翌日、怠い。
グッスリ眠れぬ焦燥が残る。
深夜ラジオを聞いたり、発売されはじめた、音楽プレイヤーに、落語、オペラ、文楽を入れた。
一時しのぎにはなったが、一睡もできず朝を迎えることがある。お医者は、「ちょこちょこ眠れとんやで」、だが辛い。
そんな時、戦前に活躍された、精神科医の森田正篤先生を知った。
先生の著書や、森田療法を知っておられるお医者さんに教わった。
気分次第で行動しない、ということだ。
続く